昨年のことになるのですが、サーフで釣り上げ、タグ&リリースしたヒラメが再捕されました!
「タグ&リリース」とは、釣った魚にタグを装着してリリースすること。
そして、いつの日か、それら魚が再び釣り上げられること(再捕)により私たちにとってかけがえのない情報、すなわち成長、移動、分布、資源量などを知ることができます。【科学的知見のための標識放流】
リリースから約1ヶ月という早さでの再捕獲…
嬉しさとともに、驚きの出来事でした
この記事では、その標識ヒラメや、ヒラメに関するタグ&リリースや再捕状況について簡単に紹介します。
ヒラメ捕獲から再捕まで
ヒラメ捕獲、そしてタグ&リリース
タグ&リリースしたヒラメは、11月後半に静岡サーフで釣り上げられました。
その時の様子をYouTubeで視聴することができます。
↓YouTube『六畳一間の狼』
ヒラメを釣り上げたのは、YouTuber『六畳一間の狼』のSUU氏。
ちなみにヒットルアーは、アーガスの「悟空バズーカ」です。
そして、釣り上げたヒラメの全長を計測後、タグを装着しリリースしました。
ヒラメ再捕!
この静岡サーフでの釣行では、その後もヒラメやマゴチ、シーバス、ブリ、オオニベなど様々な魚種と出会えることができ、とても満足したものになりました。
釣り上げられた魚の内、ヒラメ3匹・シーバス1匹に対してタグ&リリースを行いました。
また、同行した釣り仲間のご厚意により、再捕者に(加えて受取条件を満たした場合)ロッドなどの記念品を送っていただけることになりました。
そして、この時の釣行が3つのYouTubeチャンネルで公開されました。
- 六畳一間の狼
- 釣りジャック
- 現場の杉浦です!!!
そして、釣行から約1ヶ月後…
なんと、タグが付いたヒラメを釣り上げたという方からSNSのDMで連絡が入りました!
暗くて全然気付かなかったんだけど、タグが付いていたので報告しました!#JGFA#静岡サーフ pic.twitter.com/QuS5TsQEgC
— deepimpact (@deepimpact97) December 21, 2021
再捕したアングラーの方はあらかじめ動画を視聴していたため、タグを基に協会に再捕報告をしてくれました。
ヒラメが再捕されたこと、非常に驚きでした!
正直なところ、釣り仲間、そして私自身も
「リリースしたものの本当に再捕されるのだろうか?」
という気持ちがないわけではありませんでした。
ヒラメの再捕率はこれまでの実績から約4.4%というもので、決して低くはありませんが、
「釣れるとしても数年掛かるんじゃないか?」と考えていました。
しかし、リリースから約1ヶ月の再捕…しかも同じ場所で…
非常に早い再捕となったので成長については見込むことができないでしょうが、これはこれで興味深い結果になったのではないかと思います。
45例目の再捕ヒラメのデータ
後日、JGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)からも正式に結果通知が送付され、このヒラメは36年のJGFAタグ&リリースの歴史において45番目のヒラメ再捕例となりました。
放流 | 再捕 | |
年月日 | 2021.11.18 | 2021.12.21(再捕期間:33日) |
位置 | 静岡県安倍川河口 | 静岡県安倍川河口(みかけの移動距離:0km) |
尾叉長(fork length、FL.) | – | – |
全長(total length、TL.) | 41.5 cm | 41.0 cm※ |
重量 | – | – |
捕獲方法 | ルアー釣り | ルアー釣り |
※再捕後のヒラメの全長の方が小さいですが、0.5cm刻みの測定方法のためこの程度の誤差であれば問題ないのかと考えます。
このデータから、様々な結果・予想が生まれます。
- サーフでリリース後も生存していた
- リリースから約一月以内には捕食活動を行なった
- リリース後このエリアから離れ、別のエリアへ移動(+捕食)したのか?
- リリース後、同じエリア付近に留まっていたのか?
- どちらにしろ、約一月後には同じ場所で捕食活動をした。
- 命を脅かされた場所で再び偽物のルアーへ喰いついた。警戒心•学習能力は?
色々なことが考えられますが、
まずは釣り上げた魚がリリースした後も、タグという存在により、無事に生存していたことを確認できたのは収穫でした。私が行なっているリリースもタグ付けも魚の生存には問題ないようです。
ヒラメに関するT&R活動について
タグ&リリースと再捕の件数
ヒラメは1985年〜2020年の間で、985尾がタグ&リリースされ、44尾が再捕されています(再捕率:4.47%)。上の表は、サーフでも釣れる魚種に関して全魚種の放流・再捕調査実績のデータから抜粋したものです。
ヒラメは食味が良いことや釣り辛さの関係からか、放流件数は他の魚種と比べて低い傾向にあるようです。しかし、再捕率は4.47%と割と高い割合です。
45件の再捕ヒラメのデータ
この45件の再捕ヒラメについて、放流と再捕の「年月日」「全長」「場所」「経過日数」「みかけの移動距離」のデータをまとめたのが下の表になります。参考までに。
このデータから特徴的なものをいくつか抜粋します。
- 最大経過日数は、「1283日」(36.5cmが再捕時には70cmに成長)
- 最小経過日数は、「9日」
- 最大みかけの移動距離は、「250km」
- 45件中22件はみかけの移動距離「0km」での再捕
再捕記念品「リコルド Deto90」贈呈!
今回タグ&リリース活動周知のために、動画上でリリースされた魚を再捕された方には独自に記念品を出していただけることになっていました。
今回、再捕されたヒラメに対する記念品は、「リコルドディート90」になります。
再捕報告のご協力ありがとうございました!
タグ番号 | 魚種 | 放流場所 | 再捕記念プレゼント | 受付期限 | 再捕状況 |
189984 | マルスズキ | 静岡サーフ | ペンション無料宿泊(一泊分)・SURF-ZOMBIEシャツ | 〜2022年12月31日 | ー |
189985 | ヒラメ | 静岡サーフ | RicordoDeto90・SURF-ZOMBIEシャツ | 〜2022年12月31日 | 済 |
189986 | ヒラメ | 静岡サーフ | 〜2022年12月31日 | ー | |
189987 | ヒラメ | 静岡サーフ | JacksonSTSLS-9062L+・SURF-ZOMBIEシャツ | 〜2022年12月31日 | ー |
※189985のヒラメが2021.12.21付で再捕され、先着の再捕者の方にRicordoDeto90が贈呈されましたので、189986のヒラメのプレゼントはTシャツのみになります。
まとめ
昨年から始めたタグ&リリース活動ですが、開始から数ヶ月でヒラメの再捕が達成されました。
今現在、釣りの中でもサーフフィッシングは高い人気がある分野ですが、そのメインターゲットであるヒラメのタグ&リリース件数はシーバス等に比べれば少ないのが現状です。
(また、現在ある再捕ヒラメのデータの大部分は舟釣りが多くを占めています。)
タグ&リリースについては様々な意見もありますが、未来の釣りための資源管理という意味で重要であると考えるため、今後もサーフでのタグ&リリースを継続して行なっていきたいと思います。
最後に、再捕連絡していただいたアングラー様、ご協力ありがとうございました。
そして『Ricordo』様、今回の再捕記念品のご提供誠にありがとうございました。
この記事は以上になります。
最後までのご覧いただきありがとうございました。