「釣り」とは、竿や糸を用いて魚を捕える行為です。
ただ、いつでも魚を釣り上げられるとは限らないし、大海原に向かって思いっきりルアーをキャストするだけでも気持ちの良いものです。
とはいえ、やっぱり魚は釣りたい、掛かったら絶対にキャッチしたいですよね。
特にサーフの釣りとなると、何日もボウズだったり、一日に一度バイトがあるかないかということもザラです。
その貴重な一匹が掛かって、ファイトの末にフックアウトやラインブレイクでバラしてしまったら…さらに言うと、サーフで釣りをしていると年1~2回はとてつもない大物が掛かることがあるかもしれません。
もしそんな機会がきたら「絶対に釣り上げたい!」と思うのは釣り人なら当然です。
魚のバラシを無くし(減らし)大物を釣り上げるためには、アングラーは何をすべきか?
釣獲率を上げるために、フッキングやファイトスキル、タックルセッティング、対象魚の理解など様々なことを深堀することが重要だと思います。
もちろんその中には経験によるものもありますが、釣獲率の向上のための一つとして、『ドラグ設定』をしっかり行うことがあると思います。
そのドラグ設定を行うために、私は『ドラグチェッカー』を持つことをおすすめします。
このドラグチェッカーをすすめる理由や使い方を次項で紹介していきます。
ドラグチェッカーについて
そもそもドラグとは?
リールに備えられた機構であるドラグとは、ラインに一定以上の張力が掛かった時にスプールが回転、テンションを保ちながらラインを放出する機構のことです。
ドラグを使う理由は2つ。
●『ラインブレイク・フック伸びの防止』
●『ファイトの補助』
『ラインブレイクの防止』ですが、例えばフッキングにおいて、ラインシステムの強度以上の負荷が掛かる前にスプールが逆転しテンションを保ったままラインを放出することで、ラインやノット部がブレイク(合わせ切れ)しないようにしてくれます。※ただし、これは正しくドラグセッティングがされている場合であり、誤ったドラグセッティングだと弱いフッキングになったり、ドラグが効く前にラインが切れたりします。
『ファイトの補助』についてですが、ロッドが吸収しきれない魚の引き・振りによるラインへの負荷をドラグが吸収する、言い換えると一定のテンションでラインを放出してくれます。※こちらについても、ドラグ機能を活かすには正しくドラグセッティングがされている場合であり、誤ったセッティングだとラインが出過ぎて魚を寄せられなかったり、魚が暴れてフックアウトやラインブレイクが発生する可能性があります。
正しくドラグ設定するために…
ドラグ機能を最大限活かすためには、その役割や性質を理解し、個々のファイトスタイル・タックルセッティングに適したドラグ設定を行う必要があります。
このドラグ設定のためには、
●『測りで計測』
●『ラインを引っ張る感覚』
の二種類があります。
『測りで計測』する方法は、ドラグを数値化できますが広い場所が必要だったり《どこでも》《簡単に》設定できない欠点があります。
『ラインを引っ張る感覚』による設定がほとんどの釣り人が行うドラグ調整になると思いますが、(一部の熟練者を除き)毎回同じドラグ設定はできず、何より数値化できません。すなわち《正確に》設定できない欠点があります。
ドラグを「何kg」で設定してますか?
数値を思い浮かべたでしょうか(そもそも、数値ではわからないっていう人もいるかもしれません)。
その数値は、実際のドラグ値と同じだと自信を持って言えるでしょうか?
個人のスタイルによって数値は様々でしょうが、自分が設定していると思っているドラグ値と実際の値はかなり異なっているケースが多いと思います。
私の周りで何人かに聞いたことがあるのですが、結構ドラグを掛けてるつもりでもそれより下の数値の人がほとんどでした。
(ex.3kgと答えて実測値800gなど)
ちなみに1kg前後の弱い数値の方が多いのではないかと思います。
なんとなく「このくらいのドラグかな?」というあやふやな感覚でドラグ設定するよりも、
「○kgのドラグを掛ける」という意志があり、その○kgで正しくドラグを掛ける方がより釣獲率向上に繋がると思います。
これら欠点を一挙に解決する素晴らしいアイテムが、櫻井釣漁具・BOUZ『ドラグチェッカー』になります。このドラグチェッカーはリールのドラグ力を《正確に》計測するための専用精密計測器なのですが、測りによる設定と異なり、《どこでも》《簡単に》計測可能です。かつタックルのどの位置でも(手元やロッド)、ルアーや仕掛けの投入後でもドラグ計測ができます。
前述したように、ドラグ機能「ラインブレイク防止」「ファイト補助」を最大限活かし、しっかりフッキングするためには、(個人のファイトスタイル・タックルセッティングに合った)適したドラグ値で、毎釣行・正確に設定することが大事だと思います。
もちろん、具体的な数値を知らずに・釣行毎にドラグ数値がバラバラで設定していても、魚が獲れないということはないですが、ここぞという時のバラシやラインブレイクに繋がるかもしれません。
「ドラグ設定をしっかりして、掛かった魚を確実に獲る!」という強い意志があるのなら、一つの対策として持つことをおすすめします。
次項で、このドラグチェッカーについて具体的に紹介していきます。
櫻井釣漁具「ドラグチェッカー」
櫻井釣漁具(株)は1888年創業の高級和竿を始めとしたロッドなどの釣具の製造・販売をする日本最古の釣り具メーカーです。
その櫻井釣漁具の製品の一つとしてあるのが、この『BOUZ・ドラグチェッカー』で、世界初の画期的な高精度ドラグ計測器です。
種類は、最大計測範囲の「~1kg」「~3kg」「~5kg」「~15kg」の4種類。
アジ・メバルなどのライトゲーム、トラウト~シーバス、サーフゲーム~オフショアのジギング、マグロゲームなどに対応でき、その釣りの規模に応じて選択すればよいと思います。
サーフの釣りであれば、「~3kg」でよいと思いますが、オフショアなどでジギングなども行うのであれば汎用的に「~5kg」でも良いかもしれません。
※次項で説明しますが、ラインの太さによって計測誤差が発生するのでその点は留意する必要があります。「~15kg」だと低いドラグ数値ではさらにその誤差が大きくなる可能性があります。
このドラグチェッカーは、ドラグを測る機能に併せて下記のような機能があります。
●ドラグ測定
●ライン強度測定
●ノット強度測定
●魚の重量測定など
次項で、各測定方法を紹介していきます。
ドラグチェッカーの使い方
概要
各部名称
基本計測方法(計測の仕組み)
①ベゼルを反時計回りにまわし、置針を計測針に重ねてセット
②下図のように各プーリーの間にラインをセット
③ラインを引いて張ることで、メインプーリーが押され計測針と置針が動きライン張力を示します。ラインを緩めると計測針はゼロに戻り、置針はそのまま残ります。
補正率について
ドラグチェッカーを用いてより正確な数値を得るためには、実測値に補正率を算入する必要があります。
ドラグチェッカーの各モデルは基準太さのライン(基準ライン)を元に製造・調整されるのですが(ex.DC-2003はPE2.5号)、
基準ラインと計測ラインとの太さの違いがメインプーリーへのテンションを微妙に加減してしまうからです。
(参考・画像:ドラグチェッカー取扱説明書より)
補正ドラグ値(kg)=実測値(kg)×(100+補正率)/100
ex.)実測値1kg、補正率-5%なら
補正ドラグ値=1kg×{100+(-5)}/100 = 950g
『補正率表(PE)』
『補正率表(ナイロン/フロロ)』
『ドラグ設定』
ドラグ測定に関して、そこまで正確な数値にこだわり過ぎるのもドツボにはまる可能性があります。そのため、ドラグ測定に関しては多少の誤差があるものとして使っています
(ex.DC-2005でPE0.8号を実測値1.5kgになるよう負荷を掛けたとしたら、実際は1.5~1.6kgかなくらいのイメージで使っています)。
『ライン・ノット強度測定』
ライン・ノット強度に関して、ラインの種類によっては誤差がかなり大きくなる場合があるので注意が必要です。
例えば、PE0.8号のライン強度を測定するには、シリーズで一番最大範囲の「DC-2015」が必要になります。
しかし、DC-2015の基準ラインはPEで8号(ナイロン/フロロは8号)。
PE0.8号のライン強度を測定すると実測値5.5kgとなりますが、測りで測定すると6.5kgとなり、かなり誤差が大きくなります。
ナイロンに関しては、4号のライン強度をドラグチェッカーで測定すると実測値7.7kgで、測りで測定すると7.9kgと誤差は少ないです。
ドラグ測定
ドラグの数値は、下図のように 測る位置と曲がったロッドの状態によって変わります。
リールから最初のガイドの間のライン張力Aに対して、ロッド先端から出たライン張力Bの方が曲がった時のガイドとの接触で発生する摩擦力が加わることで大きくなります。
張力Aの計測法
この手元ドラグを計測・設定し釣行しています。
①ロッドを脇に挟み、その空いた手でゼロ設定にしたドラグチェッカーを持ちます(ラインホルダーは邪魔なので外してます)。
そして、反対側の手でラインをプーリーの間に入れます。②プーリーから外れないよう気を付けてラインを引きます。ドラグが効いてラインが出て、引く手のスピードが一定速になる力で引いた時に目盛りが止まります。
それが張力Aでドラグ力の数値になります。※私もそうだったのですが、ドラグの設定を勘でやっていて1kg未満の緩い設定だった人が、1.5とか2kgのドラグを掛けるとあまりの硬さ・痛さに驚くと思います。
※現在、私はサーフの釣りにおいてPE0.8号をメインに使用し、1.5kg以上でドラグを設定します。しかし、その張力で0.8号の太さの場合だと手が切れたりするので引っ張る時はフィンガーガードに巻き付けたり、ラインブレーカーに巻いて引っ張っています。
張力Bの計測法
張力A基準でドラグ設定をしているので、張力Bは測定しませんが測定方法は下記のとおり。
①ドラグチェッカーにラインホルダーをセット
②ベゼルを反時計回りにまわし、置き針を計測針に重ねてセット
③ロッド先端から出たラインを固定しドラグチェッカーをラインにセット
④ドラグが出始めるまでロッドをあおる。ドラグが出始めた時のライン張力が測定可能。※ロッドをあおる速度によって計測値が変化します。これはドラグの特性です。設定には毎回同じあおり速度で計測してください。(参考:ドラグチェッカー取扱説明書)
ライン強度測定
基本計測方法のとおりにラインをセットし、ラインブレーカーでラインを引き切ります。
置針(白)の指している数値がライン強度となります。
測定例)
●使用ドラグチェッカー:DC-2015「~15kg」(基準ライン8号)
●測定ライン:
『VARIVAS アバニジギング10×10(x8)0.8号』
『VARIVAS シーバスショックリーダー ナイロン 16lb.(4号)』
●試行回数:3回
回数 | PE 0.8号 破断値(kg) | ナイロン16lb. 破断値(kg) |
1回目 | 5.30 | 7.75 |
2回目 | 5.70 | 7.90 |
3回目 | 5.60 | 7.70 |
Ave. | 5.53 | 7.78 |
※ドラグチェッカーの基準ライン(PE8号)に対し、PE0.8号はかなり細く、誤差が大きくなるので注意。
※ナイロン4号は基準ライン(ナイロン8号)に近いので誤差は小さいです。
ノット測定
PE+リーダーの結束強度
ライン強度測定と同様です。
ラインブレーカーでラインを引き切り、置針(白)の指している数値がノットの結束強度となります。
測定例)
●使用ドラグチェッカー:DC-2015「~15kg」(基準ライン8号)
●測定ライン:
『VARIVAS アバニジギング10×10(x8)0.8号』+
『VARIVAS シーバスショックリーダー ナイロン 16lb.(4号)』(SCノット)
●試行回数:3回 (PE側で破断)
回数 | 破断値(kg) | 結束強度(=破断値/5.53)(%) |
1回目 | 4.75 | 85.9 |
2回目 | 4.60 | 83.2 |
3回目 | 4.50 | 81.4 |
Ave. | 4.62 | 83.5 |
※ドラグチェッカーの基準ライン(PE8号)に対し、PE0.8号はかなり細く、誤差が大きくなるので注意。ただ、結束強度は比率なのである程度参考になるとは考えます。
リーダー+スナップの結束強度
スナップを固定した場所に掛け、片方をラインブレーカーで引っ張り、引き切ります。
置針(白)の指している数値がノットの結束強度となります。
測定例)
●使用ドラグチェッカー:DC-2015「~15kg」(基準ライン8号)
●測定ライン:
『VARIVAS シーバスショックリーダー ナイロン 16lb.(4号)』+
『ACTIVE ルアースナップストロング#0(42lb.)』(イモムシノット)
●試行回数:3回
回数 | 破断値(kg) | 結束強度(=破断値/7.78)(%) |
1回目 | 7.70 | 99.0 |
2回目 | 7.10 | 91.3 |
3回目 | 7.10 | 91.3 |
Ave. | 7.30 | 93.8 |
※ナイロン4号は基準ライン(ナイロン8号)に近いので誤差は小さいです。
ラインとノット強度に実際の測定結果を記載しました。
『補正率について』の注意点に記載したように、ドラグチェッカーDC-2015の基準ラインとの関係で、PEラインについては実測値はかなり誤差が大きくなります(結束強度については比率になるので参考にはなるとは思います)。
ナイロン・フロロについては、基準ラインに近いので正確な数値に近い値となり参考になります。
※しかし、本当に正確な数値で測定したい場合は、測りを使用した方が良いとは思います。
『ドラグチェッカーの購入に至ったきっかけ』
この記事では、ドラグチェッカーはドラグ設定のためにおすすめとして書いています。
私自身も実際の釣りの現場でドラグ設定のために必ず使用しているのですが、ドラグチェッカーを購入したきっかけというのは、ドラグ測定でなくノット強度測定のためでした。
数年前の横浜フィッシングショーのIGFAのブースで「スナップ+リーダー」のノット強度の測定体験ができたのですが、当時、スナップの結束には『漁師結び(完全結び)』を使用していました。
当時、謎の自信があったのですが、実際測ってみると切れるどころか直ぐに抜けてしまいました…
「これはおかしい…たまたま調子が悪かった…」と言い聞かせ、2回目もやらせてもらいましたが、結果は同じ、するすると抜けました…
ちなみに数値は3.57kg。確かフロロ4号だったので、ノット強度は50%程度…
謎の自信は粉々に打ち砕かれました…
あまりのくやしさに「なんとかしなければ…」と釣具屋を散策していたらドラグチェッカーがありノット強度が測れるということで購入しました。
ドラグチェッカーを用いて、スナップとリーダーの強度測定を進めていくと、致命的なミスがあることで強度が激減することに気付きました。
しかしそれでも10回の内2回くらいは強度が低くなってしまうので、自分には漁師結びは合わないと判断し、ノットを変えることにしました。
常に強度90%以上になるノットを探し、様々なノットを試した結果、イモムシノットとの相性が良く、10回やっても全て90%以上の結束強度になるので今も使用しています。
その後、ドラグ設定の重要性も感じ、ドラグ測定にドラグチェッカーを使うようになりました。
魚の重量測定
一度も魚の重量測定に使用したはことはないですが、理論上可能です。
方法としては、魚が針に掛かった状態でラインにドラグチェッカーをセットすることで、魚の重量測定になります。
ドラグチェッカーが与える釣り人への恩恵
ドラグチェッカーを購入したことで、ライン強度、ノット強度、そしてドラグ設定について強く意識するようになりました。
以前は合わせ切れ、フックアウトによるバラシに悩んでいる時期がありましたが、ドラグチェッカーも駆使し検証や練習を行い、今はPE+リーダー、リーダー+スナップの結束強度に自信が持てようになりました。併せて、ライン自身の取扱いについても注意するようになりました。
ラインやノットに強い自信ができたので、フッキングは躊躇なく強力に、
そして、自分のファイトスタイル、タックルセッティングに適したドラグ設定によりファイト中 適切にドラグ機能が働きバラシもほとんどしなくなりました。
このドラグ設定で魚を釣り上げた時の記憶・経験が強い自信を生み、さらに次のいい魚を釣り上げることに繋げていきます。
まとめ
私自身かつてそうでしたが、合わせ切れしてしまったり、ファイトでバラシ・ラインブレイクなどかなり悩んでいた時期がありました。
しかし、今はドラグチェッカーでどこでも・簡単に・正確にドラグ設定を行い、かつラインやノットの強度を意識するようになったことで検証・練習を重ねタックルセッティング・ラインシステムに自信を持てるようになりました。
バラシが多かったり、ラインが切れたりして悩んでいる人はドラグ設定、そしてライン・ノット強度を確認することを強くおすすめします。
ただこのドラグチェッカー、やや高額(8000円弱)です。
しかし、ドラグチェッカーを買わないまでも絶対にドラグの確認はした方がいいです。
デジタル重量計などがあれば、ドラグ測定もライン・ノット測定も正確にできます。
ペットボトルを用いてもドラグ測定は簡単に確認できるので(釣り場では難しいそうですが)一度はやってみるといいと思います。
この記事は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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補足事項
【併せて欲しい】釣り便利アイテム「ラインブレーカー」
ラインやノットの強度測定では、ラインを破断させるまでラインを引っ張る必要があります。しかし、素手で行うと絶対にケガするのでラインブレーカーがあると便利です。
私は下記のラインブレーカーを使用しています。
サーフの釣りでも根掛かりした場合に針を伸ばしたり、ラインを回収するのために常に装備しています。もちろんノットの締め込みでも使用しています。参考までに。
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